留学先で語学研修コースを修了、もしくは日本で培った英語力が高いと認められると、海外の大学で正規のコースを受講できるようになります。つまり、現地のネイティブ・スピーカーと肩を並べて大学で授業を受けられます。これまでの努力が実り、大学で学ぶための英語力が認められたわけです。

しかし、実際に正規のコースを受け始めると、全く授業についていけなくて苦労することがあります。講義の内容や授業中のディスカッションで何が起こっているのかさっぱり把握できないのです。

しかも毎回、山のような課題が出ます。授業がわからないばかりか、予習や復習もこなせません。そうこうしているうちに、中間テストが迫り、レポート提出が求められ、気が付けば期末テストの時期になります。やるべきことがありすぎて一向に追いつけません。

特に最初の学期には、海外の大学で勉強することに慣れていないので、自分の勉強スタイルやペースが確立していません。それと同時に英語力も上げる必要があるため、想像以上に忙しい日々を送ることになります。

私もアメリカの4年制大学に編入したばかりの頃、忙しくて眠れない夜を何度も過ごしました。しかし、これからお伝えすることを実行すれば、最初の学期から優秀な成績をとることが可能です。また、最初の学期でコツをつかめば、その後はさほど苦労することなく大学での留学生活を楽しめます。成績優秀者として卒業することも夢ではありません。

優秀な成績を取り続けると、さらに良い大学へ編入することも可能ですし、トップレベルの大学院や優良企業へ就職する際にも役立ちます。留学では成績がすべてではありませんが、良いに越したことはありません。

それでは、大学留学で最初の学期から優秀な成績をとるための秘訣についてお伝えしていきます。

最初の学期に受講するコースの選択基準

はじめて大学でネイティブの学生たちと一緒に正規コースを受講する際には、どのような基準で受講するコースを選択したらよいのでしょうか。コース名と学校のカタログで得られる情報だけで選択しても良いのでしょうか。

英語力がまだ足りない最初の学期では特に、どのコースを選択するかよく考える必要があります。なぜなら、コースによっては英語力がなくても良い成績をとりやすいコースとそうでないものがあるからです。

では、どのようなコースを選択すればよいのでしょうか。

アカデミック・アドバイザーの言いなりは危険

新入生のオリエンテーションが終わると受講コースを選択する履修登録期間になります。その時期には、アカデミック・アドバイザーという役割の人と相談して、どのコースを履修するか決定します。アカデミック・アドバイザーというのは、大学で学ぶことに関してのアドバイスをしてくれる人で、大学によって名称は異なります。

大学を卒業するためには、好きなコースをやみくもに受講すればよいわけではありません。卒業までに受講すべきコースや単位数を把握し、自分の実力にあったレベルのコースを計画的に受講する必要があります。通常、一学期の間に4つのコースを受講するのが一般的ですが、それ以上のコースを受講して早く卒業する人もいます。

卒業までに必要なコースや単位などは、大学のカタログに説明されています。しかし、学生だけで履修コースを選ぶと、必修コースをとり忘れたり、卒業に必要な単位が足りずに卒業できなかったりするため、アカデミック・アドバイザーのような存在が必要になるわけです。

確かにアカデミック・アドバイザーは重要な役割を果たしています。しかし、日本人留学生が彼らに相談する際は、注意が必要です。なぜなら、彼らは大学の先生や専門のアドバイザーであるため、英語のネイティブ・スピーカーである場合がほとんどです。そのため、英語ができない日本人留学生の実情がわかりません。彼らの助言だけを聞いて履修するコースを決めてしまうと大変なことになります。

実は、私もそのせいで大変な目に遭いました。私のアカデミック・アドバイザーは、専攻したいと思っていた学部の教授でした。当然、ネイティブ・スピーカーです。彼は以前、私が演劇に興味があるという話をしたことを覚えていたため、「Technical Production I(テクニカル・プロダクション)」という演劇の大道具を作るコースを勧めてきました。

当時の私はよくわかっていなかったので、勧められた通りそのコースを受講してみたのです。その結果、C-という過去最低の成績に終わりました。実は、そのコースの先生が話す英語が速い上に、スラングを多用していたため講義内容を全く理解できなかったのです。

(これは私の成績表の一部です。アメリカの大学では、A~Dで成績がつけられ、A+が最もよく、Dが最低です。赤い丸を付けている通り、「Tech Production I」というコースの成績はC-でした。)

私の実例のように、アカデミック・アドバイザーの言いなりになってはいけません。まず、アカデミック・アドバイザーには「自分がネイティブ・スピーカーではない」ことを説明してください。それから、履修したいコースが決まったら、アカデミック・アドバイザーにそのコースの先生に会う方法を確認してください。

大抵の場合、大学には先生の名簿があり、その名簿にはオフィスの場所と電話番号が書いてあります。いきなり電話をすることに苦手意識がある場合は、オフィスを直接訪ねてみましょう。もし先生が不在の場合は、ドアの下にある隙間からオフィス内にメモを入れておけばいいです。

メモに書く内容は以下のような英文を使えばよいでしょう。

Hello, my name is Taro Yamada(名前). I am interested in taking your upcoming course, “ここにコース名をいれてください”. However, I would like to ask some questions before I actually register for it. Could you let me know when would be the best time to come visit your office?  My email address is: taroyamada@xxxxxxx.com(実際のメールアドレスに書き換えてください). Thank you.

(こんにちは。私の名前は山田太郎です。今期、先生の「コース名」を受講したいと思っています。しかし、実際に履修登録する前にいくつか質問をしたいと考えています。そのために先生のオフィスを訪問したいのですが、いつが最もご都合がよいか教えていただけませんか?私のメールアドレスは、taroyamada@xxxxxxx.comです。よろしくお願いします。)

書き終わったら紙を半分に折り、上面にTo Professor XXX(XXX教授へ)と大きな文字で書いてください。その後、その紙をドアの隙間からオフィス内に入れてください。

先生からメールで返事が届いたら、指定された時間帯にもう一度先生のオフィスを訪ねてみましょう。最初に残したメッセージに「いくつかの質問がある」と書いたので、具体的には以下のような質問をしてください。

Could you explain a little more about what you would cover in the course?(このコースで扱う内容をもう少し説明していただけませんか?)

How many textbooks are you planning to use for the course?(このコースで使う教科書は何冊ありますか?)

Have you ever taught any students from Japan before?(これまでに日本からの生徒を教えてことがありますか?)

ほかの質問もあれば、きちんと用意してメモを取りながら話をしてみましょう。先生の回答も大切ですが、ここではその先生が話す英語が聞き取りやすいかどうかを判断することが重要です。そうすれば、その先生の英語が聞き取りやすいかどうかをコースが始まる前に知ることができます。

もし聞き取りにくい英語を話すことが判明した場合には、英語力が上がってから受講するほうが良いでしょう。思い切って別の先生のコースを選択しましょう。

日本人やほかの国の留学生からアドバイスをもらう

履修コースを決める際にアドバイスをもらえるのは、アカデミック・アドバイザーだけではありません。もっと貴重な情報を持っているのは、日本人の先輩です。留学先の大学に日本人の先輩がいる場合は、英語が聞き取りやすい先生やよい成績を取りやすいコースを聞き出してください。また、他の国から来ている留学生にも参考までに聞いてみましょう。

さらに、留学生同士だけでなくネイティブの学生にもよい成績がとりやすいコースはないかを聞き、参考にしてください。ただし、ここでも注意が必要です。なぜなら、ネイティブにとって講義内容が簡単なだけで、留学生には難しいコースもあるからです。

たとえば、先ほどの私の例のように演劇の大道具を製作するコースは、ネイティブには簡単だったかもしれません。またFilm Studies(映画学)などもネイティブにとっては楽しい授業かもしれませんが、外国映画に興味がない場合、日本人留学生には難しいことがあります。

語学力をあまり必要としないコースを受講する

最初の学期はまだ語学力が低いため、語学力をあまり必要としないコースを履修するほうが賢明です。具体的には、日本の高校で習ったことのある数学、初歩レベルの音楽、美術、英語以外に興味のある外国語、体育がお勧めです。

数学と美術についてはコース名が細かく英語でわかれており、具体的なコース名を英語で列記すると以下のようになります。

日本語名 英語名(省略形)
数学 Mathematics (Math)
代数  Algebra
幾何 Geometry
確率統計 Probability and Statistics
微分積分 Calculus
美術 Art
図画 Drawing
油絵 Oil Painting
水彩画 Watercolor Painting
版画 Printmaking
陶芸 Ceramics
彫刻 Sculpture
写真 Photography
アニメーション Animation
グラフィック・デザイン Graphic Design

外国語については、日本の外国語の授業よりも実践的なのでついていくことが難しいことがあります。そのため、自分がすでによく知っている言語であれば選択したほうがよいでしょう。そうでない場合は、言語のコースは受講しないほうが賢明です。

ここまで、語学力が不要なコースを受講するように勧めてきました。しかし、留学を目指すような志の高い人であれば、語学力が不要なコースを選択するという考え自体を嫌うかもしれません。確かに、正規コースを履修する前に語学力を高めているので、そのような基準で選択するのではなく、心から学びたいコースを受講するべきだと思うのは当然です。

実のところ、はじめての正規コースを受講する学期は予想以上に大変です。私も当時もっとも興味のあった「文化人類学」を最初の学期に受講してしまったことを後悔しています。なぜなら、本来なら思う存分楽しめたはずの授業でしたが、内容がまったくわからなかったからです。再受講することも考えましたが、時間と費用の都合で断念せざるを得ませんでした。

心から学びたいと思う授業だからこそ、語学力がある程度向上し、海外の大学で勉強するリズムがつかめた後に受講したほうが合理的といえます。

ここまで、最初の学期に受講するコースを選択する方法について述べてきました。以降は、実際にコースがはじまってからの勉強法などについて説明します。

新学期が開始してからの対策

次に、最初の学期が開始してから、どのように授業の予習や復習をすればよいか、また他の生徒や先生から助けを得る方法などについて説明します。

新学期が始まって最初のクラスでは、先生からsyllabus(シラバス)と呼ばれる「講義を受講する際に必要な情報がすべて記載してあるもの」をもらいます。その際、コースの内容にいきなり入るよりも、シラバスをもとにコースの全容やコースから得られるものを説明する場合が多いです。

シラバスに書いてあることや先生の説明に少しでも疑問を感じたら、質問できるようにメモをしておいてください。メモした質問については、クラス内で聞いても良いですし、クラスの終了後に先生に確認してもよいでしょう。

学期中の時間管理

受講するすべてのコースのシラバスがそろったら、手帳やカレンダーに各コースの中間テスト、期末テスト、レポート提出期限などをわかる範囲で記入してください。また、国民の祝日や学校のお休みも記入しましょう。もちろんスマホやインターネットのカレンダーを使っても構いません。

学校のお休みは、Break(ブレイク)やRecess(リセス)という名前で学校のカタログまたはホームページにAcademic Calendar(アカデミック・カレンダー)として掲載されています。

こういったお休みの期間や学校行事などをカレンダーに入れながら、すべてのコースでもらったシラバスに書かれている課題図書の量やテスト範囲、レポートの出題日、提出期限などを具体的にイメージしてください。それだけで、無駄な時間は一時も過ごせないことが容易に想像できるはずです。

また、この時点で可能であれば、各コースの予習や復習の時間を手帳やカレンダーに書き込んでみましょう。その際には、予習・復習の開始時間と勉強時間だけでなく、勉強する場所まで具体的に決めておくことをお勧めします。たとえば、月・水・金の朝9時から50分の授業がある場合、「授業が終わったらすぐに図書館に移動し、朝10時から1時間復習する」と決めておきましょう。

授業の予習方法

では次に授業の予習方法について説明します。

受講するコースによって、宿題として出される教科書や学術論文を読む量は異なります。数学や体育など語学力をあまり必要としないコースでは、必然的に読む量は少なくなり、予習よりも復習や演習のほうが大切になります。ただそういったコースばかりを履修できなかったときには、以下のような方法で英文を読む訓練をしましょう。

英文の構造を知る

英文は基本的に非常に論理的な構成で作られているため、ルールを知ると驚くほど速く読めるようになります。速く読める理由は、読むべき箇所と読まなくてもいい箇所がわかるからです。

では英文の構造を説明しましょう。英文は長さにかかわらず、最初のほうに結論が書いてあります。その後に続くものは、その結論を立証するための根拠が書いてあるだけです。その英文の最も言いたいことは冒頭部分にありますから、そこを読むだけで概要がつかめます。

また、英文はパラグラフという段落で構成されています。一つのパラグラフには一つのまとまった考えが示されており、それが論理的に意味をなす順番で並べられて文章を構成しています。たとえば以下の文章は、4つのパラグラフによって構成されています。

パラグラフ①

Critics say that current voting systems used in the United States are inefficient and often lead to the inaccurate counting of votes. Miscounts can be especially damaging if an election is closely contested. Those critics would like the traditional systems to be replaced with far more efficient and trustworthy computerized voting systems.

パラグラフ②

In traditional voting, one major source of inaccuracy is that people accidentally vote for the wrong candidate. Voters usually have to find the name of their candidate on a large sheet of paper containing many names?the ballot?and make a small mark next to that name. People with poor eyesight can easily mark the wrong name. The computerized voting machines have an easy-to-use touch-screen technology: to cast a vote, a voter needs only to touch the candidate’s name on the screen to record a vote for that candidate; voters can even have the computer magnify the name for easier viewing.

パラグラフ③

Another major problem with old voting systems is that they rely heavily on people to count the votes. Officials must often count up the votes one by one, going through every ballot and recording the vote. Since they have to deal with thousands of ballots, it is almost inevitable that they will make mistakes. If an error is detected, a long and expensive recount has to take place. In contrast, computerized systems remove the possibility of human error, since all the vote counting is done quickly and automatically by the computers.

パラグラフ④

Finally some people say it is too risky to implement complicated voting technology nationwide. But without giving it a thought, governments and individuals alike trust other complex computer technology every day to be perfectly accurate in banking transactions as well as in the communication of highly sensitive information.

*出典:TOEFL iBT® TEST QUESTIONS(TOEFLのリーディング・セクションの質問サンプル )

https://www.ets.org/Media/Tests/TOEFL/pdf/SampleQuestions.pdf

次に、パラグラフの最初の一文のことをトピック・センテンスと呼びます。上の文章では太字になっている部分です。トピック・センテンスは、そのパラグラフの主となる考えを要約した一文である場合がほとんどです。

英文を読む際には、まず最初のパラグラフ(パラグラフ①)を読みます。それ以降はパラグラフごとの最初の一文、つまりトピック・センテンスを読んでいきます。そうすると文章全体の大意をつかめる構造になっています。

上の英文の例では、青字部分太字部分を読むだけで著者の意図がつかめます。つまり、半分以上は読まなくてもいいことになります。その結果、速く読めるのです。大意をつかんだ後、詳細な内容について確認したければ、該当のパラグラフに戻り、じっくり読むだけでさらに細かく理解することが可能です。

慣れないうちは、文章のすべての知らない単語を辞書で調べたい衝動に駆られるかもしれません。しかし、そのようなことをしていたらすぐに時間が足りなくなるでしょう。そうであれば、最初からこういった速読方法を練習し、身に付けておくべきです。

以上で予習に関する説明は終わります。次は授業中の対策について説明します。

授業は最前列に座って、録音する

授業中は、先生の許可を得た上で講義を録音しましょう。私がこれまで講義を受けた先生の中で録音を拒まれたことはありませんが、礼儀として許可はとってください。その際には、「授業をきちんと理解したいけれど、英語が母国語ではないので困っている」と伝えればよいです。

また、教室に入ったら毎回必ず最前列に座るようにしましょう。これには2つ理由があります。1つは、先生の近くで録音した方が音質がよいからです。もう1つの理由は、最前列に座ることが、あなたの真面目な授業態度を示すことにつながるからです。

講義の録音には軽量で大容量のICレコーダーを使うと便利です。ICレコーダーは、「再生スピード(50%くらい遅く再生できる機能)」「部分リピート再生(聞き取りにくい箇所を何度も再生する機能)」「パソコンに接続して、音声ファイルを保存できる機能」、そして「ノイズキャンセリング(雑音を除去する機能)」がついているものを選択してください。なお授業の前にかならず電池の残量を確認しましょう。

ここで一点注意すべきことがあります。それは、講義を録音しているという安心感から、授業中にノートをとらなかったり、眠ってしまったりする点です。ノートは必ずとり、授業中は講義に集中しましょう。その理由は、録音がうまくできていなかったらその授業の内容が全くわからなくなるからです。

また、録音したものを授業の後にディクテーション(書き取り)しますが、その際にあらかじめ聞き取れている部分が多ければ楽だからです。そもそも、録音したものを聞く必要がないくらい授業中に理解できるようになることが理想的な状態です。最初からその状態を視野に入れて、授業中にすべて理解できるように早い段階から訓練しましょう。

授業が終わったらその日のうちにディクテーション(書き取り)する

授業が終わって別のコースの準備などで忙しいため、収録された授業の音声をため込んでしまうことがあります。「今日は忙しいから明日やろう」と思っていたら、すぐに次の授業の日が来てしまいます。そうするとあっという間に2~3講義分の音声がたまります。

こうなると大変です。せっかく授業中に理解していた内容も忘れて、音声だけを頼りにディクテーションしなくてはなりません。しかもディクテーションは、私の経験からしても授業時間の3~5倍の時間がかかります。

たとえば50分の授業であれば、2時間半~4時間ほどの時間を要します。なかには90分の授業もありますから、その場合は4時間半~7時間もかけてディクテーションをしなければなりません。それが2~3講義分あると想像するだけで気が遠くなります。

では、そうなることを避けるにはどうしたらよいでしょうか。それは、授業があったその日のうちにディクテーションを済ませることです。授業の記憶が鮮明なうちに実施することで、ディクテーションにかかる時間も短縮できます。どうしてもその日のうちにできない場合は、必ず翌日の23時までには完了するという次善策も作っておきましょう。

また何度聞いてもわからない部分は思い切って聞き飛ばしましょう。実は、私が留学中にディクテーションをしていたころは、その行為自体が英語力の向上につながると信じていたので、一字一句すべての文字を書き起こしていました。しかし、後から考えるとそこまでする必要はなかったです。

英語力を伸ばすことに焦点を置くと、ディクテーションの際にすべての文字を書きとりたい衝動に駆られます。しかし、大学留学では、膨大な作業に優先順位をつけて毎日の勉強をこなしていくというスキルを身に付ける必要があります。その点も念頭に置いて、英語力を伸ばすことに囚われず、要領よく良い成績を取るための工夫ができないかと常に自問自答するようにしましょう。

困る前に助けを求めることが可能な環境を作る

これまで述べてきたような努力をしても、最初の学期では授業の内容についていけない場合があります。そのようなときは、自分ひとりで何とかしようとするのではなく、周囲の人たちの助けを借りることが重要です。しかし、困ってからでは対処が遅れ、助けを求めているうちにさらに状況が悪化する場合も出てきます。

困ったときにすぐに対処できるように、あらかじめ助けを求めることができる環境を作っておきましょう。具体的には、5つの方法があります。

周囲の人たちに助けを借りる5つの方法

(1)先輩のノートをコピー

あなたが受講しているコースを既に受講した人を知っているのであれば、ノートを借りてコピーさせてもらいましょう。過去のコースですから、現在のものとは多少異なる場合があるため注意が必要です。しかし、何もない状態からディクテーションをして苦しむよりもはるかに簡単に授業の内容を理解できます。

(2)優秀な生徒のノートをコピー

現在一緒に受講している生徒の中で優秀な人を見つけ、その人のノートを借りてコピーさせてもらいましょう。優秀な生徒と仲良くなると、後のコースでも助けてもらえる可能性があります。

ただし、お願いごとばかりでは相手も嫌な思いをします。必ず何らかのお礼をすることを心がけてください。日本に帰省したときにお土産を買って戻ることもできるでしょう。例えば私の場合、日本の空港に売っている扇子や漢字の入ったTシャツなどをプレゼントしていました。

ノートを借りる際には、以下の表現が使えます。

Hi, may I borrow your class notes?

(授業のノートを借りてもいいですか?)

なお、コピーをとったらすぐにノートを返すことを忘れないようにしましょう。

(3)スタディー・グループ

難しいコースであれば、生徒のうちの誰かがスタディー・グループという勉強会を開催している可能性が高いです。そのようなグループがあれば参加させてもらいましょう。もしなければ、「スタディー・グループを作りたいのですが、誰か一緒に勉強してもらえませんか」と誘ってみましょう。

以下のような英語の表現を使えば良いです。

Hey, I would like to form a study group for this class.  Is anyone interested in studying with me?

(このコースのスタディ・グループを作りたいです。一緒に勉強したい方はいませんか?)

(4)チューター制度

ほとんどの大学では、チューター制度が整っています。チューターというのは家庭教師の意味で、現在の学期より前にそのコースを受講した生徒が、現在受講中の生徒のわからないところを教えてくれる制度です。学生課やアカデミック・アドバイザー、または受講しているコースの先生にチューターを探していることを伝えてください。

以下のような英語の表現を使ってください。

I am looking for a tutor for “コース名”.

(「コース名」のチューターを探しています)

Could you help me find a good tutor for “コース名”?

(「コース名」のよいチューターを探すのを手伝っていただけませんか?)

(5) 大学のWriting Center(ライティング・センター)やLibrary(図書館)

また大学には、英文科の学生が文章の校正などを無償で実施してくれるライティング・センターというものがあります。レポートを書いて提出するときは必ず文章をチェックしてもらいましょう。

さらにレポートを書く際には、図書館で調べ物をすることも多くなります。図書館にもライブラリアン(図書館司書)が常駐していますから、特定の情報について調べ方がわからない場合は臆することなく質問してください。

先生から助けを借りる方法

最後に受講コースの先生から助けを借りる方法を説明します。大学では、先生のオフィス・アワー(office hour)というものが設定されています。その時間帯であれば、生徒は先生のオフィスを訪ねて質問や相談ができます。

授業中やディクテーションした内容で質問が出てきたら書き留めておき、オフィス・アワーに先生に質問へ行きましょう。授業の内容が明確になるだけでなく、先生を何度も訪ねていると顔を覚えてもらいやすく、関心を抱いてもらえます。

それから、テストやレポートの結果に不満がある場合には、先生のオフィスへ直接交渉に行くこともできます。その際には、なぜそのような結果になったのかを先生に弁明してもらいましょう。そして、あなたがそれでも不満に思う理由を明確に伝えられるように準備してください。正当な理由をきちんと伝えることができれば、交渉は成功するでしょう。

上記のように授業中以外の時間にも先生に質問や相談をすることで、真面目な学習態度をアピールできます。その結果、わずかながら成績が上がる効果もあるはずです。たとえば、あなたの真面目な学習態度を知らなければB+という成績をつけるところですが、効果的なアピールをしたことによってA-になる可能性があります。

A~Dで表される成績については、以下の表を参照してください。前述したB+とA-では、ほんのわずかな差しかないことがわかります。

A+ 4.3*
A 4.0
A- 3.7
B+ 3.3
B 3.0
B- 2.7
C+ 2.3
C 2.0
C- 1.7
D+ 1.3
D 1.0
D- 0.7

(*学校によって異なります。私の通った大学では、A+もAと同じ4.0でしたが、スタンフォード大学では、A+は4.3です。)

ちなみに、就職先の人事担当や大学院の入試課の人たちが成績表を見たとき、「+」や「-」の細かな部分ではなく、AやBのアルファベットのほうが印象は強いです。

以上のように、大学の正規コースを受講する初めの学期から優秀な成績をとるための秘訣を紹介してきました。最初は良い成績の取りやすいコースを選択し、慣れてきたら受講する難しいコースの数を増やしていきましょう。

徐々に大学の勉強のリズムがつかめてきますから、それまでの間は簡単なコースを履修し、他の生徒や先生の力を借りて、確実に自分の力をつけていきましょう。

優秀な成績で大学を卒業するためにも最初の学期から良い成績を収め、その自信を礎にして残りの留学生活をよりよいものにしてください。