留学生活が始まって数週間も経つと、現地の生活にも慣れ始め、ネイティブの友達も徐々に増えていることでしょう。忙しくても充実した楽しい日々の連続です。

しかしその頃、日本人留学生が必ずといっていいほど直面する問題があります。

その問題とは、せっかくネイティブの友達ができたのにネイティブ同士の会話が聞き取れなくて、話の輪に加われないことです。

大抵の場合、英語のリスニング力が上達してくると、英語の教材や留学先で先生が話すことや講演会のスピーチを聞き取れるようになります。しかし、そのような場を離れ、授業の合間やランチタイムにネイティブ同士が会話している輪の中に入ろうとしても何をいっているのかさっぱりわからないのです。

これは、なぜでしょうか。また、ネイティブ同士の日常会話を聞き取るためにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、カジュアルな場面でネイティブの会話が聞き取れない原因とその対策について解説します。

ネイティブ同士の日常会話が聞き取れない原因

なぜ、ネイティブ・スピーカー同士がカジュアルな場面で話す日常会話が全く聞き取れないのでしょうか。その原因を大別すると2つの側面があります。一つは、話されている内容自体に関することです。もう一つは、言語に関わることです。

では、まず話されている内容自体に原因があることについて説明します。

ネイティブと共有している文化的知識や情報が少ない

日本人留学生が、ネイティブ同士の会話を聞き取りにくい原因としては、そもそも会話の内容についての文化的知識や情報が少ないことがあります。

日本で生まれ育ったあなたとネイティブの学生たちでは、出会うまで全く異なる社会・文化の中で暮らしてきました。いくら日本が西洋化されてきたとはいえ、日本には日本独自の文化や社会制度があり、それらを形成した歴史があります。同様に留学先の国にも、それぞれ独自の文化や社会制度があります。

留学前に渡航先の国の文化や社会制度をある程度予習していたとしても、その国で生まれ育った人達と比べて知識や情報量が著しく少ないです。しかも、日本で事前に得た知識は、自分が経験した一次情報ではありません。それらは往々にして、他人から聞いた話、本やインターネットといった二次情報です。そのため、内容が正しいかどうかもわかりません。

また、ネイティブ・スピーカーと一括りで呼んでいますが、彼らもそれぞれ個別の環境で生まれ育ち、年齢や性別、性格、趣味嗜好も一人ひとり異なります。しかも移民を受け入れてきた英語圏の国々では、人種や民族の違いもあります。そのため、二次情報だけではネイティブと共有している知識・情報がかなり不足しています。

さらに、渡航後も英語を外国語として習得しようとしている留学生にとって、英語で入手できる情報量はネイティブと比較するとかなり限られます。毎日の生活の中で、TV・新聞・雑誌・インターネットなどのメディアやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)を通じて大量の情報が入ってきます。そういった情報が日常会話の中には頻繁に登場します。

たとえば、日本に住んでいるときでもメディアやSNS情報を全く入手しないと、途端に友人との会話についていけなくなります。急に著名になった芸能人の名前や最近流行りのお決まりフレーズを聞いても全く認識できなくなります。周囲の人たちがそういった会話で盛り上がっているときに、「~って誰?」や「~って何?」とその都度知らないことを聞いていたら場がしらけてしまいます。

それと同じ状況がネイティブ・スピーカーとの会話でも起こります。ネイティブ同士の会話では、ある程度の知識や情報を共有しているという前提で話をしています。そのため、その国に生まれ住んでいる人たちにとって当たり前のことは会話の中で省略されるのです。

一方、日本から来ている留学生とネイティブが会話する際には、彼らと同じレベルの文化的知識を留学生が持っているという前提はありません。したがって、共有知識を確認しながら丁寧に会話が進むはずです。そのため、ネイティブ同士の会話は聞き取れなくてもネイティブと一対一の会話になると聞き取りやすくなります。

以上のように、ネイティブ同士の会話が聞き取れない原因の一つは、彼らが常識としている知識や情報をもっていないことが理由です。

次に言語的な面から、ネイティブの日常会話が聞き取れない原因について説明します。

日常会話では使われる英語表現や発音自体が異なる

ネイティブ同士の会話が聞き取れないもう一つの原因は、講義やスピーチといった公式の場と日常生活では、使われる英語表現や発音自体が異なることにあります。

講義やスピーチなどのフォーマルな場面を想像してみてください。そういった状況では、話し手は不特定多数の聞き手に向けて発言しています。その場にいるすべての聞き手に話す内容を伝えるために、わかりやすい表現を使い、比較的はっきりと発音することが求められます。そのため、日常会話で使うカジュアルな表現や発音をなるべく控えるようにするのです。

ではここで、イメージしやすいように日本語の場合を考えてみましょう。

日本語も公式な場面と日常会話では異なる

英語は外国語なので特別なものとして捉えがちです。しかし、日本語でもフォーマルな場面とカジュアルな日常会話では使う言葉や発音方法が異なります。

使う言葉が異なる例:

言葉自体が異なる顕著な例として、略語があります。具体例としては、以下のようなものがあります。

「あけましておめでとう」→「あけおめ」

「完全徹夜」→「完徹」

「シネマコンプレックス」→「シネコン」

「駐車禁止」→「駐禁」

「デパートの地下の食品売り場」→「デパ地下」

「ファミリーレストラン」→「ファミレス」

こういった日本語は、学校の先生や政治家がフォーマルな場で使うことはありません。しかし、日常会話では普通に使われます。

発音方法が異なる例:

次に、カジュアルな場面で発音方法が異なる例として、以下のようなものがあります。

「~してしまう」→「~しちゃう」

「~ではない」→「~じゃない」

「~しておく」→「~しとく」

「~すれば」→「~すりゃ」

これらは、縮約形とよばれます。

上記のような略語や縮約形をフォーマルな場面で使うことはありません。またカジュアルな場面であったとしても、話す相手によって使う言葉に配慮することが必要です。たとえば、目上の方や知り合ったばかりの人に対して、こういった言葉は使われません。

また、日本語を習う人たちのことを想像してみてください。彼らが使用する日本語学習教材では、このような略語や縮約形ではなく、きちんとした日本語が解説されてあるはずです。

日本語学習者がこういった表現や発音方法を覚えるのは、あくまでも日本語のネイティブ・スピーカーやTVで使われている日本語を真似しているからに過ぎません。たとえ教材があったとしても、それらは上級者向けのものでしょう。

このように日本語でもフォーマルな場や話す相手によって、表現や発音方法に変化があります。日本人でも略語を知らなければ、推測はできても明確な意味はわからないでしょう。

英語に関してもこれと同様のことがいえます。そのため、日常会話で使われるカジュアルな表現や発音方法を知っておくことが重要になります。

日常会話は高速スピード

ネイティブ同士の会話が聞き取れないもう一つの原因は、彼らの話すスピードです。

実は現地でネイティブが会話するときのスピードは、日本で提供されているリスニング教材とは比べ物にならないほど速いです。

ほとんどのリスニング教材は、ネイティブ・スピーカーが普通に話すスピードのことをナチュラルスピードと呼んでいますが、このナチュラルスピードという言葉の定義自体が曖昧で厳密な基準がありません。そのスピードは教材ごとに異なります。

具体的には、1分間に150文字の英単語を話すスピードとしている教材もあれば、1分間に170文字を話している教材もあります。

しかも実際に現地でネイティブが話すスピードと比較すると、これらのスピードはとてもゆっくりです。個人差はあるものの、実際にネイティブ同士が話すスピードは200文字程度です。早口の人であれば、1分間に270文字以上のスピードで話します。

つまり、日本で聞きなれているネイティブ英語のスピードは、非常にゆっくりと話す場合のもので、カジュアルな日常会話においてネイティブが1分間に150文字程度で話すことは珍しいといえます。

では、なぜそのようなスピードの違いが出てくるのでしょうか。ネイティブの日常会話スピードが速い理由は、前述した略語や縮約形を使用し、できる限り発声する言葉や音を省略するからです。英語のリスニング教材では、言葉や音を可能な限り省略したようなものはありません。あまり省略しすぎると言語の教材にならないからです。

以上のことをよく考えてみると、ネイティブ同士の会話が聞き取れないことは、問題ではなくチャンスと捉えることができます。英語圏で生活するということは、こういったカジュアルな日常会話で使われる英語を大量に聞ける絶好の機会です。日本では、そのような生の英語に接する機会は多くありません。

このチャンスを利用して、高速スピードのネイティブの会話を聞き取れるスキルを身に付けてしまいましょう。

以下では、そのスキルを身に付ける方法を具体的に述べていきます。

ネイティブの日常会話を聞き取るための対策

ネイティブ同士の会話が聞き取れない原因として、「(1) 会話の内容自体についての知識がない」「(2) 日常会話で使用される表現・発音方法が異なる」「(3) (2)に付随して発話スピードが速い」ことの3点について説明しました。

ここからは、これらの原因をもとにして、ネイティブ同士の日常会話を聞き取るための対策を述べていきます。

ネイティブとの共有知識や情報対策

まず1つ目の原因である共有知識や情報については、留学先で学校の授業だけではなく、できる限り多くの媒体から情報を吸収するように心がけてください。具体的には、TV、新聞、雑誌、書籍、インターネット、SNSなどがあります。

またクリスマスなどの国民の祝日には、その祝日に関する歴史や文化について学びましょう。さらに長期留学でお休みの期間がある場合には、近隣の観光名所などをめぐるツアーに参加してもいいです。

そのようにしてネイティブと共有できる文化的知識を増やすためにさまざまなことを体験することも大切です。なぜなら、そういった自分自身の体験に基づいた知識は、彼らと日常会話をする際に生きてくるからです。自分のフィルターを通した知識や情報は、本や雑誌で得た二次情報とは比較になりません。

しかし、このような知識・情報を蓄積することはネイティブの日常会話を理解するために、絶対に必要だというわけではありません。短期留学で時間がない場合や授業についていくだけで精一杯という場合には、無理をする必要はありません。余計なことに時間を費やすのではなく学業に専念することも大切です。

もしネイティブの話している内容がわからければ、聞こえてきたキーワードや聞きなれない音について、「What do you mean by ~ ? (~ってどういう意味?)」や「What is ~? (~って何?)」と質問すればよいでしょう。そのようにして新しい言葉や流行っている事柄を順に覚えていけばいいです。

ネイティブの日常会話表現

次に、ネイティブが日常会話で使う英語表現については、地域や年齢層、所属する社会的な立場、時代などによって変わります。したがって、留学先でよく使われている表現をその都度覚えていくことが重要です。

現地のネイティブが日常会話で頻繁に使う表現の例には以下のようなものがあります。

airhead (バカ)

例文: Bob has been acting like an airhead lately. (ボブは最近バカみたいな行動をとる)

cheesy (安っぽい)

例文: The novel has such a cheesy plot. (この小説は筋書きが安っぽい)

diss (侮辱する)

例文: You are not dissing me, are you? (私のことをバカにしているんじゃないよね?)

hang out (一緒に遊ぶ)

例文: Hey, let’s hang out this weekend. (今週末は一緒に遊ぼう)

hooked (はまる)

例文: Since then, I have been hooked on diving. (それ以来、ダイビングにはまっている)

for real (本当に)

例文: Are you for real? (本気なの?)

piece of cake (簡単)

例文: The exam was a piece of cake.  (試験は簡単だった)

pig out (たくさん食べる)

例文: I pigged out last night due to stress. (ストレスのせいで昨夜は食べ過ぎた)

screw up (失敗する)

例文: I screwed up the whole thing. (私はすべてを台無しにした)

wrap up (終わる)

例文: Let’s wrap up the meeting for today. (今日のところはこの辺で会議を終えましょう)

yikes (うわ!)

例文: Yikes, she made the same mistake again! (うわ!彼女がまた同じミスをした)

こういった表現は日常生活で頻出するため、留学生活が始まるとすぐに覚えられます。ただ、知らないと意味がわからないため、聞き取れない場合もあります。日本では習わない自然なネイティブの表現を少しずつ蓄積して、自分のものにしていきましょう。

また市販の英会話の表現集には、スラングを含むカジュアルな表現を集めたものも増えてきました。こういった表現集は単語集と同様の機能があり、頻出する表現をまとめているため大変便利です。こういったものを参考にすれば、ネイティブが使う自然な表現を楽に覚えていくことができます。

ただし、このようなカジュアルな表現を使う際には注意すべきことがあります。それは、これらを使用しても問題がない状況や話し相手であるかを見極めることです。

英語には日本語ほど明確な敬語がないため、英語圏の人たちとの会話では立場を気にせず率直な話ができると勘違いしてしまいます。しかし実際には、「could you ~ ? (~してもいいですか?)」というcanの過去形を用いた丁寧な言い回しがあるように、英語にも敬語的な表現があります。

その点を留意して、目上の人や先生などに対してあまりにカジュアルな表現を使うと、失礼な人と誤解されてしまいます。私も留学当初は先生に対して失礼な表現を連発していました。そのため、他の生徒は笑顔で迎えるのに対して、私がその先生のオフィスの前に現れた瞬間とても嫌そうな顔をして、まともな対応をしてもらえませんでした。

そのような不必要な人間関係の摩擦を避け、円滑なコミュニケーションを取るためにも、話す相手と使う言葉には十分気を付けてください。よくわからない場合は、なるべく丁寧な表現を使うとよいでしょう。

高速スピードで話すネイティブの日常会話を聞き取る方法

ネイティブ同士の会話を聞き取るためには、ネイティブが使う日常会話表現を覚えるだけでは不十分です。彼らの話す高速スピードの英語についていく必要があります。

では実際にどうすればよいのでしょうか。

前述の通り、カジュアルな場面でネイティブ同士が話す際には発音自体が変化します。単語の音が消滅したり、縮んだり、2つの単語の音が連結したりします。そういった変化についての認識がなければ、音と単語が結びつかず、何を言っているのかわからない状態になります。

もちろんカジュアルな場面以外でも同様の音の変化はあります。しかし、公式な場と比較すると、カジュアルな日常会話では不特定多数の聞き手に対する配慮がなされない場合がほとんどです。そのため、できる限り最小限の力でコミュニケーションを取ろうとします。

これは日本語でも同じです。たとえば「クレジット・カード」が「クレカ」になったり、「メールアドレス」が「メアド」になったりします。それと同様に、英語でも日常会話はなるべく労力をかけないように話されます。つまり、明瞭な音を出さなくても通じる相手には、できる限り省力化された形で音が発せられるのです。

簡単な例としては、「check it out(ほら見て)」は、「チェック・イット・アウト」ではなく、「チェッケラ」と発音されます。また、「I want to do it.(私はそれをしたい)」は、「アイ・ウォント・トゥー・ドゥー・イット」が、「アイ・ウォナ・ドゥー・イット」に変化します。

このような省力化が日常会話ではさらに度を増すため、聞き取れなくなるのです。

英語の音の変化には主に8つの法則がある

しかし、こういった音の変化は無秩序に行われるわけではありません。法則性があります。極端に省力化された音についても、そういった法則を理解していれば応用ができます。したがって、高速スピードの英語を聞き取るためには、省力化されたときに英語の音が変化する法則を知ればよいのです。

では、英語の音がどのように変化するのか、実際にその法則について説明していきましょう。

英語の音が変化する法則は、大きくわけて以下の8つの種類があります。母音と特定の子音の並び方により変化が生じます。

法則1. 「t」が母音に挟まれるとラ行やダ行の音になる

例)water(ウォーー)、letter(レダーまたはレラー)butter(バー)、waiter(ウェイー)、shut up(シャップ)、get out of here(ゲヒア)など

法則2. 語尾の「l」が「オー」になる

例)couple(カッポー)、unbelievable(アンビリーバボー)、people(ピーポー)、uncle(アンコー)、natural(ナチュロー)、muscle(マッソー)など

法則3. 「nt」の後に弱い母音が続くと「ナー」の音に変わる

例)center(セナー)、hunter(ハナー)、interview(イヴュー)、interesting(イレスティング)、international(イーナショノー)など

法則4. 語を飛び越えて連結する

例)check it out(チェッケラ)、pick it up(ピッキラップ)、bring it on(ブリンギッドオーン)、turn it off(ターネローフ)、in front of(インフラナブ)、in an hour(インナンナウアー)など

法則5. 子音のあとに「y」が続くと連結して別の音になる

例)not yet(ノッチェット)、hate you(ヘイチュー)、last year(ラスチャー)、need you(ニージュー)、won’t you(ウォンチュー)、could you(クッジュー)、said yes(セッジェス)など

法則6. 母音の後に「t」「d」「p」「g」「k」など詰まった音が来るとその音が消えて休止音が入る

例)basketball(バスケ●ボール)、cotton(カッ●ゥン)、wooden(ウ●ゥン)、clipboard(クリッ●ボード)、parking lot(パーキン●ロット)、book case(ブッ●ケース)など

法則7. 「h」の音が消える

例)ask him(アスキム)、get him(ゲティム)、pick her up(ピッカラップ)、send her(センダー)、from here(フラミア)、must have(マスタヴ)など

法則8. 短縮されて音が変わる(文字表記も音に合わせて変えることがある)

例)kind of→kinda(カインダ)、going to→gonna(ゴナ)、want to→wanna(ウォナ)、because→cosまたはcuz(コズ)、again(ゲン)、and→’n(ン)、see you→see ya(シーヤ)

実際にこれらの単語やフレーズが話されたときに、上記の変化の法則について知っていると聞き取りやすくなります。また、上記の例でカタカナ表記してあるように発音してみると、単語ごとに明瞭に発音していたときと比較すると速く話せることに気づくでしょう。

以上、英語の音が変化する8つの法則を述べてきました。次は、ネイティブ同士の会話を聞き取るために、これらの法則を活用して具体的に何をすべきかを説明していきます。

大量の訓練で聞き取れる耳を作る

先ほど述べた8つの法則を知ることで英語の音が変化する仕組みを大まかにつかむことができました。しかし、法則を知るだけでは不十分です。知識を得た次のステップとして、聞き取れない音が聞き取れるようになるためには大量の訓練が必要です。

まず訓練に必要なICレコーダーを用意してください。特に高機能のものを準備する必要はありません。スマホの音声録音機能を使ってもよいでしょう。用意ができたら、ネイティブ同士の日常会話が豊富に入っている海外TVドラマや映画を一つ選択し、聞き取れない箇所を収録します。

本来ならば、聞き取りたい音源に最も近いネイティブ同士の会話を録音させてもらうことが理想的です。しかし、彼らの個人的な会話をずっと録音し続けることはプライバシーの侵害になります。また、聞き取れない部分が突如として出現した場合に、過去に戻って同じセリフを話してもらうのは非現実的です。

そういった理由から、訓練用の音源を作成するために、ネイティブ英語と同じくらいの難易度である海外TVドラマや映画を活用します。その手順は次の通りです。

訓練用の音源を作成する手順

まず英語の字幕を見ることが可能な海外TVドラマや映画を選択します。このとき、スピーチを収録したTEDトークやCNNなどのニュース媒体は、日常会話ではないため訓練対象にはなりません。選択するのは、TVドラマか映画に限定してください。

特にお勧めするものはありませんが、サイエンス・フィクションやホラーものは特殊用語が頻繁に出てくるので避けた方が良いでしょう。恋愛ものは比較的簡単なので初心者向けです。自分のリスニング力を考慮した上で好きなものを選択してください。なるべく自分が好きな俳優・女優が出演している作品を選んでください。

次に、選択したTVドラマや映画を字幕なしで観て、聞き取れない箇所が出てきたら巻き戻して録音してください。完全な文章を録音する必要はありません。聞き取れない箇所だけを録音します。「ゴニョゴニョ」と話していてわからない箇所は、3~5秒以内に収まるはずです。そのような3~5秒の短い音声のカタマリを集めて5分程度の特訓用音声を作成します。

5分は「60秒×5=300秒」です。1つのカタマリを仮に5秒とすると、60個の音源を連続して聞くことができます。英語の音が変わる8つの法則を思い出しながら、この5分の特訓用音声を何度も何度も聞き直してください。音に集中して何をいっているのか書き出してみましょう。

たとえばその箇所は、「He said “yes,” so I immediately called her to let her know about it.(彼が「イエス」っていったから、すぐに彼女に電話してその旨を伝えたんだ)」というセリフだったとします。この1つのカタマリを書き出してみると、「He —– immediately colder —– know about it.」となりました。

次に、「—–」の部分が聞けるまで最低20回は聞き直してみましょう。「—–」の部分に注意しながら、音源のもととなったTVドラマや映画をもう一度観てください。

映像と物語の流れをヒントに、聞き取れなかった箇所が聞き取れるようになったでしょうか。どうしても聞き取れなかった場合は、英語の字幕を見ながら何をいっているのか答え合わせをしてください。

その際に、そのセリフを話している俳優・女優と同じようなスピードとアクセントになるように真似をしてください。自分の好きな俳優・女優が出演しているものを選ぶ理由はここにあります。彼らになりきって、身振り手振りまで真似してください。

このとき、自分の声も録音するとさらに効果的です。自分の声を客観的に聞くことができるからです。ここまですれば、聞き取れない音のパターンがわかってきます。

以上で述べた訓練方法を継続していくと、徐々にネイティブ同士の会話が聞き取れるようになってきます。もちろん海外生活が長ければ、これと近い形の訓練をしていることになります。ただ、長い年月をかけることができない場合、もしくは日本にいるときから訓練を始めたい場合には、これが最も効果的な方法だといえます。

ここでは、ネイティブ同士の日常会話が聞き取れない原因とその対策、そして具体的な訓練方法について述べました。英語の音が変化する法則を知り、その知識をもとに実践訓練を積み重ねてください。その結果、ネイティブの高速スピードにも対応できるリスニング力を確実に養うことができるでしょう。