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海外留学を計画している段階では、留学先へ旅立つ日や実際の留学生活が楽しみで仕方ない気持ちでいっぱいになるものです。しかしその一方で、海外で発生する事件や犯罪などがTVや新聞で報じられると、「安全に留学できるだろうか」と心配になることもあるでしょう。

どんなに治安がよいと言われている国や地域でも、事件・事故・自然災害などのトラブルは発生します。そのため、何の対策もとらずに出発するのではなく、事前準備をしておくべきです。留学中に発生するトラブルには事前に知識をもっておくだけで防げるものがたくさんあります。

では、具体的にどのような知識が必要なのでしょうか。これから、海外留学の安全性を高めるために必要な心構えと知識について説明します。

安全な留学生活のために必要な心構え

留学生活の安全性を高めるためにどのような心構えが必要なのでしょうか。

留学に限らず、日本という国を出て海外へ行き、滞在する際には「そこが日本ではないこと」をしっかりと意識する必要があります。日本の常識は海外では通用しません。そんなことは、当たり前だと思われるかもしれませんが、まず日本の常識を疑うことを意識する必要があります。

簡単な例でいえば、音をたてて麺類をズルズルとすすりながら食べたり、食べ物が入ったお皿を口の近くまで持ち上げて食べたりすることがあります。このような行動は日本では常識ですが、海外ではマナー違反とみなされる国もあります。

しかも、こういった行動は無意識なので、まわりの人たちの反応や誰かに指摘してもらわないと自分では気づかないことがほとんどです。日本と海外の違いを強く意識し、その前提で行動することを忘れないようにするべきです。

日本は安全な国

安全な留学のために特に強く意識してほしい日本と海外の違いがあります。それは、日本はとても安全な国だということです。

例えば日本では、財布や携帯電話を落としても、誰かが警察に届けてくれます。お金がたくさん入った財布を平気で人前で開けても、誰もそれを盗もうとはしません。酔っぱらって駅で寝ている人の財布が盗まれることもありません。

絶対に安全という保証はありませんが、海外ではこういった事実自体が不思議なくらい珍しいのです。

このような環境で暮らしていると、危機意識が低下します。日本では当たり前の行動が、海外では非常に危険な場合があります。例えば、日が暮れてから一人で外出したり、電車内で平気で居眠りをしたりすることなどが挙げられます。

いまであれば、スマホの画面を見ながら無防備に歩いている人をよく見かけるようになりました。ただ、海外で同様の行動をとると非常に危険です。バッグに入っている財布をすられたり、比較的高価なスマホ自体をパッと取られたりするのが容易に想像できます。

海外では、「お金(高価なもの)を持っていると盗まれる」、「ひと気のない場所に行くと危ない」、「夜は外に出ると危ない」と自分に何度も言い聞かせておくべきです。

さらに、現地の危険な地域はどのエリアなのかを調べ、到着後は自分の行動に対する現地の人たちの反応を観察して、危険な行動をとらないように心がけましょう。

いったん日本を出たら、「そこは日本ではなく、海外であること」を強く意識し、身近なところにいつも危険が潜んでいることを忘れないでください。

それだけで、いつトラブルが起こるかわからないという緊張感を持ち、それに即した行動をとれるようになります。

安全性を高めるための知識

心構えに加えて、安全な留学のためにとても重要なことがあります。それは、留学先の国の社会的背景・慣習などの知識です。そういった知識があることで、その国で生活する際に必要なルールがわかり、トラブルを回避する可能性が高くなるからです。

日本人が留学中に特に注意すべき点として、服装、飲酒・喫煙に関する法律、宗教・民族にかかわるタブー、人種差別や偏見、麻薬・薬物の使用、銃の保持などがあります。

大抵の場合、こういったトラブルを引き起こす原因は、社会的・文化的な違いを理解していなかったことにあります。逆にいえば、そういった知識があればトラブルを回避できるのです。

留学先の国ごとにそれぞれ違いはありますが、日本人が海外生活を送る上で必要な基本知識をもとに注意すべき点をこれから説明していきます。

目立たない服装を心がける

日本では普通だと思われるファッションまたは行動が、海外では異様に感じる場合があります。ここでは、服装・身だしなみについて特に注意すべき点を紹介します。

特に女性が注意すべきこと:

・必要以上に露出度の高い服装は避ける

日本で流行しているからといってミニスカート、ショートパンツ、さらには胸元が広く空いていたり、肩や背中が出ていたりするようなトップスやドレスなどは、人目を惹くことになり危険です。イスラム圏に限らず、このような露出度の高い服装は避けてください。

・可愛すぎるファッションは控える

日本発のKAWAII(かわいい)文化が世界に知られつつあるとはいえ、世界の大多数の人たちは興味関心がないといったほうが適切です。フリフリしたスカートや鮮やかな色彩の服装コーディネイト、長いつけまつ毛をつけた派手なメイクで外出すると非常に目立ってしまいます。

・公共の場所で化粧やメイク直しをしないようにする

日本では電車内などの公共の場で、メイク直しや化粧をしている人を見かけます。日本国内でもこのような行為は非常識だと批判されていますが、海外でも公共の場で化粧やメイク直しをすることは行儀が悪いとみなされます。国内外を問わず、礼儀正しい行動をして、周囲からの不要な注意や嫌悪感を招かないように心がけましょう。

・高価なブランドの服やアクセサリーなどを身にまとわないようにする

誰がみてもわかるような高価なブランドの服やアクセサリーを身に着けていると、犯罪者の目に留まりやすくなります。例えば、高価なイヤリング・ピアスなどをしていると引きちぎられる危険性も伴います。パーティーなどで華美な装飾品をまとう必要がある場合は、安全な場所に移動してから装飾するようにしましょう。

男女ともに注意すべきこと:

・高価なブランドのバッグを持ち歩かないようにする

性別や年齢にかかわらず、日本人は高価なブランドのバッグを持っているのをよく見かけます。日本では多くの人たちが同じようなものを持っているので気になりませんが、海外に行くと高価なブランドのバッグを持ち歩いていると目立ちます。

・英語や外国の文字がはいったTシャツは意味をよく調べる

日本で販売されているTシャツなどには、デザインの一部として英語やその他の外国語で文字が書かれています。しかし、中には差別的なことや恥ずかしい内容が書かれている場合もあります。意味をしっかり確認するか、最善策としてそのようなデザインの服は持っていかないようにしましょう。

私もアメリカに留学したばかりのころ、紺色の生地に大きな黄色の文字でCDCと書かれたTシャツを着ていました。そのTシャツのデザイナーがなぜCDCという文字を使ったのはわかりませんが、アメリカ人にとってCDCは、一般的にCenters for Disease Control and Prevention(アメリカ疾病管理予防センター)を略したものです。

CDC自体に悪い意味はありませんが、そのTシャツを着ているときは必ずCDCについて冗談を言われるか、Tシャツの本当の意図は何かと尋ねられたものです。

特に男性が注意すべきこと:

・財布を後ろポケットに入れないようにしましょう。

日本では男性がズボンの後ろポケットに長財布を入れ、半分以上がポケットから出ていることをよく見かけます。この状態では、スリの人に「どうぞ盗んでください」と言っているようなものです。財布は人の目につかないように身に着けるようにしましょう。

服装に関しては、男女問わず、基本的に現地の人たちの服装をまねるようにしましょう。そうして不要な注意をひかないことが、一日でも早く現地に溶け込み、安全な留学生活を送ることにつながります。

宗教別のマナーとタブー

日本で長年暮らしていると、世界にはさまざま宗教が存在し、それぞれタブーやマナーがあることを意識する機会がほとんどありません。ここでは、以下の通り、顕著な違いのある4つ宗教(イスラム教・ヒンズー教・仏教・キリスト教)について注意すべき点を列挙します。

イスラム圏(中東・インドネシア・マレーシア・トルコ・パキスタン・モルディブ・モロッコなど)
・男女とも肌の露出を極力避け、女性は場合によって髪の毛や顔をスカーフなどで隠す

・酒類は禁止(旅行者は許される国もあるが、その場合でも公の場で飲まない)

豚肉や豚肉製品を食べることは禁止

・ラマダンと呼ばれる断食の期間(イスラム歴の9番目の月)は、公の場で喫煙や飲食をしない(イスラム歴は太陽暦とは周期が異なるため、毎年時期を確認しましょう)

・女性から男性へ握手を求めてはいけない

・男性は女性の体にさわらない

左手は不浄の手なので、食事には使わない

ヒンズー圏(インド・ネパール・ブータンなど)
牛肉や牛肉製品を食べることは禁止

牛革製品を身に着けて寺院に入れない(も例外ではない)

左手は不浄の手なので、食事や物を差し出す際は右手を使う

・カースト制度が残る地域では、その話題を避ける

仏教圏(タイ・カンボジア・ベトナムなど)
・女性は肌の露出をなるべく避ける

・僧侶には馴れ馴れしく近づいたり、触れたりしない

・仏像は目線より下に置かない

左手は不浄の手なので、食事や物を差し出す際は右手を使う

キリスト教圏(ヨーロッパ・北米・中米・南米・フィリピンなど)
・教会では静粛にする

・キリスト教、牧師、神父などを冒涜するような言動をしない

・同じキリスト教でもたくさんの宗派があることを意識する

※どの宗教圏の国でも、その国に居住するすべての人が同じ宗教とは限らないので、注意が必要です。例えば、アメリカはキリスト教徒が多いですが、移民で構成されている国なので、イスラム教徒やヒンズー教徒、仏教徒の人々も暮らしています。

またキリスト教にもカトリックとプロテスタントがあるように、それぞれの宗教で宗派が細かくわかれている点も注意し、違いを尊重することが求められます。

上記のような主だった違いは当然のことですが、各宗教の特徴を理解し、個人個人の信教の自由を尊重しましょう。たとえ、ある特定の宗教を信仰している人がその場にいないとしても、その宗教を批判するような言動は決して発しないでください。

民族・人種差別や偏見

宗教に限らず、日本は多民族国家ではないため、民族に関しても間違った認識を持ち、うっかり配慮を欠く言動をすることがあります。そういった状況を避けるためにも、さほど詳しくない場合は軽率な言動を控えるようにしましょう。

民族や人種といったセンシティブな問題については、熟考した上での発言を心がけてください。特に注意が必要な具体例としては、テロ事件の影響で、中東の人々に対する偏見が強まっていることがあります。

また、歴史をさかのぼっていくと、黒人や先住民も差別や迫害の対象となってきたため、こちらに悪意のない無邪気な発言に対して過剰反応されることも少なくありません。

そういった軽はずみな言動を避けるためにも、留学先の国での民族・人種差別に関する知識を得ておくようにしましょう。最初の一歩として、「英語 差別用語」というキーワードで検索エンジンを調査してみてはいかがでしょうか。検索結果を読むだけで、気を付けるべき内容が把握しやすくなります。

また、英語圏以外へ留学する場合は、英語というキーワードを別の言語に置き換えて検索してみてください。例えば、「中国語 差別用語」などです。

ここまで、民族・人種について、私たちが軽率な行動をとるかもしれない場合について話しましたが、その逆の場合もあります。つまり、海外では、日本人もしくはアジア系の人種として、差別や偏見にさらされることがあります。

実際に私が留学中に体験した中で特に記憶に残っていることが2つあります。

1つ目は、アイオワ州のシーダー・ラピッズというアメリカの田舎町で、初めてショッピングモールに買い物に行ったときのことです。

腕時計のショーケースを見ながら、「May I see it? (それを見せてもらえますか?)」と特定の腕時計を指さしながら、ショーケースからその腕時計を出してくれるように依頼しました。しかし、そのときの女性店員は、まるで不思議なものを見るかのような目つきで私をじっと観察し、無視してどこかへ行ってしまいました。

2つ目の体験は、アメリカ生活も慣れてきた最初の夏季休暇に、ニューヨークのマンハッタンへ3日間旅行しました。その最終日の早朝に帰りの高速バスへ向かって歩いていると、「Go home, Korean! (韓国人は帰れ!)」と黒人の男性に叫ばれたのです。

「私は韓国人ではない」という複雑な気持ちと、「帰れ」といわれたことに対してショックを受けました。

このように、日本にいるときとは異なり、民族や人種に対して強く意識させられることがあります。ときには疎外感を味わうこともあるかもしれません。

日本にいると意識する機会は少ないですが、海外の多くの国では、さまざまな歴史的背景をもって国民が形成されています。近年では日本も国際化が進み、自分とは異なる民族・人種の人たちとコミュニケーションをとる状況が増えてきました。

留学中に多様なバックグラウンドを持つ人たちと交流する機会を多くもつことで、そのような状況で求められる能力を培うことができます。これは、留学の大きなメリットです。軽率な言動を取らないように気を付けながら、さまざまな文化・社会的背景をもつ人たちに関しての知識を増やしていくようにしましょう。

これまで、服装や宗教といった社会的・文化的な側面について述べてきました。次に、飲酒や薬物などに関して留学中に気を付けるべきことを説明します。

飲酒・喫煙の年齢制限は20歳ばかりではない

日本でも選挙権年齢が18歳以上なりました。飲酒・喫煙についても、年齢の引き下げが今後あるかもしれませんが、現時点で飲酒・喫煙をしてもよいのは20歳以上の成人です。ただ、この日本の常識は、世界の常識ではありません。

飲酒や喫煙の年齢制限は、以下の表のように国ごとに異なります。

特に、アメリカで飲酒ができるのは、21歳からという点に注意してください。アメリカに滞在している間は、アメリカの法律に従わなければなりません。20歳の人は特に意識して、21歳の誕生日を迎えるまでは、日本と同じ感覚でアルコールを飲まないようにしましょう。

国名 飲酒 喫煙
アメリカ 21歳 18歳
カナダ 19歳(一部の州では18歳) 19歳(一部の州では18歳)
イギリス 18歳(ビール、シードルなどで食事を伴う場合は16歳) 16歳
オーストラリア 18歳 18歳
ニュージーランド 18歳 18歳
フランス 16歳(蒸留酒は18歳) なし(場所による)
ドイツ 16歳(蒸留酒は18歳) 16歳
イタリア 16歳 なし(購入は16歳)
中国 なし なし
フィリピン 18歳 18歳
タイ 19歳 19歳

次に、年齢制限に加えて、たばこやビールなどのアルコール類を購入するときも注意が必要です。

日本でたばこやビールを購入するとき、年齢が確認できるものを提示するようにといわれていますが、コンビニでは「私は20歳以上です」というボタンをタッチすれば、わざわざ免許証を確認されることは滅多にありません。

しかし、アメリカでは、たばこやビールを購入するたびにパスポートなどのID(身分証明書)を提示するように求められます。

海外旅行と比較すると滞在期間の長い留学中は、常にパスポートを携帯している人はあまりいません。本来は携行するのがルールですが、パスポートをなくしてはいけないため、大切な場所に保管している場合がほとんどでしょう。

ただ、タバコやビールを買いに行くと必ず「IDを見せてください」と言われます。そのため、たばこやビールを買いに行くときは、パスポートなどの顔写真の入った身分証明書を持っていくことを忘れないようにしてください。

留学期間が長い場合は、自動車の運転免許を取得することもあります。その場合は、免許証をIDとして使えます。また、自動車の免許以外にもIDの代わりとして使えるものがないか、ホストファミリーや学校の先生に確認することをお勧めします。

以下のような英文で聞いてみるとよいでしょう。

Are there any other alternatives to passports and driver’s licenses to use as an ID? (パスポートや運転免許証のようにIDとして使えるものは何かありますか?)

アメリカの例では、運転免許証が持てない人たちは、州が発行するIDカードを取得することができます。運転免許の新規発行や更新を扱う Department of Motor Vehicles(通称DMV)という部署で発行されます。

ただし、発行するためには、Social Security Number(社会保障番号)が必要です。1996年からSocial Security Numberを取得できるのは、アメリカに入国するためのビザ (VISA) を保有している人のみです。

そのため、短期の滞在でVISAなしで入国している場合は、パスポートをIDとして利用することになります。その場合は、やはりパスポートを持ち歩く頻度が多くなるため、盗まれないように気を付けましょう。

タバコの価格は州や店ごとに異なる

タバコに関しても日本と海外では違いがあります。国によってメーカーや種類が違うことは当然ですが、タバコの価格に関しても日本の常識とは異なります。

州によって違うタバコの価格

私が滞在していたアメリカを例に挙げると、日本の常識と異なる点が2つあります。1つ目は、タバコの価格が州によって異なることです。

具体的に、2016年の「マルボロレッド」ひと箱の価格を主要な州ごとに比較してみます。

マルボロレッドひと箱の州ごとの価格(2016年7月時点)

州名 価格*(US$) 価格(日本円換算**)
ニューヨーク $12.60 1,386円
イリノイ $11.26 1,239円
マサチューセッツ $10.67 1,174円
ワシントン $9.75 1,073円
ニュージャージー $8.37 921円
ワシントンDC $8.15 897円
テキサス $7.57 833円
カリフォルニア $7.16 788円
オレゴン $6.24 686円
フロリダ $5.57 613円
ハワイ $5.35 589円

*コンビニの提示価格

**1ドル(US)=110円で計算(四捨五入)

(同じ時期の「マルボロレッド」の日本価格は、460円です)

上記の表を見てもわかるように州によっては半額で購入できるため、週末に別の州に行って買いだめをする人もいます。

例えば最も高いニューヨーク州と隣り合わせのニュージャージー州では、ひと箱400円程度安く買えます。10箱買えば4,000円、30箱買えば、1万2千円も得することになります。1日で1箱タバコを吸うようなヘビースモーカーであれば、1年で14万6千円も得する計算になります。

これは、州によってタバコにかかる税金の額が異なることに起因しています。

さらに、オーストラリアのシドニーで同じタバコを購入すると18ドル(25オーストラリアドル)、またイギリスのロンドンでは12ドル(9ポンド)です。

お店によっても異なるタバコの価格

タバコの価格に関して異なるもう一つの点は、日本ではどこのお店で買っても同じ価格ですが、アメリカではお店によってタバコの価格が違います。特にコストコのようなスーパーでカートン(10箱入り)を買うと2~3ドル安く購入できます。また、セール中であればもっと安く入手できることがあります。

日本では政府が税制を変更しなければ、タバコの価格は変わりません。しかし、アメリカではお店が自由に価格設定できるので価格変動します。よってお店や時期によって価格が異なるのです。

全体として、喫煙者が多い国はタバコの値段が安い傾向があります。そのため、留学先の国が喫煙に対してどれくらい寛容かを測るには、タバコの価格を日本と比較してみるとよいでしょう。

最近は日本も喫煙マナーが厳しくなってきましたが、もっと厳しい国もあります。そういった国では、タバコを吸ってもよいかどうかを確認し、吸い殻を捨てる場所を確保した上で喫煙する必要があります。

これまで述べてきたように、飲酒・喫煙に関しても国ごとに違いがあります。渡航前に留学先の国の法律やルールを調べて、良識ある行動をとるように心がけてください。

麻薬・薬物の使用

次に麻薬・薬物に関して注意すべきことを述べます。日本では、マリファナ(大麻)などの薬物を使用することは法律で禁じられています。そして、医療用に使用する以外は、アメリカなどの海外でも薬物使用は禁じられています。

日本で生活していると薬物を利用している人に出会うことはありませんが、海外の大学で寮生活をしているとまるでアルコールを飲んだり、タバコを吸ったりするような感覚で薬物(特にマリファナ)を使用している学生を見かけます。

私もアメリカの大学の寮に住んでいたころは、マリファナの匂いがどこからともなく漂ってきていたことを覚えています。また、一緒にマリファナを吸うように誘われたこともあります。

現地の友人がまだ少なかった頃の私にとって、誘ってくれたこと自体がうれしくて、「もしかしたら一緒に吸えば友達が増えるかもしれない」といったバカな考えがよぎりました。

しかし、どんな状況であっても、絶対に薬物には手を出してはいけません。誰と友達になるかは非常に大切なポイントです。留学生活を充実させるためにも、薬物を使用しているような人たちとは距離を置くべきです。

ご存知の通り、薬物には常習性があります。「周囲に溶け込みたい」という理由や単なる好奇心から始めてしまったばっかりに、留学生活はもちろんのこと、その後の人生まで棒に振ってしまうことになります。

また、法的にも厳しい罰則を受ける可能性があります。外務省の報告では、海外で違法薬物を所持・運搬していたなどの容疑で日本人が逮捕され、厳罰に処されたケースが多く、2014年の時点で5名の日本人に死刑が執行されています。

軽はずみな行動が悲惨な結果になるため、いかなる状況であっても薬物の使用はきっぱりと断りましょう。

銃の保持

最後に、銃の保持に関しても、日本と海外の違いに注意しておく必要があります。海外では、「自分の身は自分で守る」という考えに基づいて、護身のために銃を保持することが認められている国々があります。

銃の事件に関して、日本のニュース番組ではアメリカがよく取り上げられます。アメリカでは、銃の保持を認められている州が多くあり、1992年にルイジアナ州バトンルージュで発生した日本人留学生射殺事件といった銃に関連する事件が発生しています。

また、ここ数十年の間に数多くの死傷者を出した銃の乱射事件が発生しています。こういったニュースで報道される規模の事件以外にも、銃に関する事件は実際に毎日のように世界中で発生しています。

日本では銃を目にすることは滅多にありませんが、アメリカではホームセンターで銃を販売している州がたくさんあります。もちろん誰でも購入できるわけではなく免許が必要ですが、ショーケースの中に並んでいる銃をみてびっくりしたことを覚えています。

また、ストレス発散のために銃の射撃場にいくようなシーンがアメリカのTVドラマや映画によく出てきます。それくらい、アメリカ人にとって銃は身近な存在です。

では、アメリカ以外の留学先として人気のある国々について銃の所持率をみてみましょう。以下の表は、民間人の銃の保有率を表しています。

国名 銃の保有率(%)
アメリカ 101.05
フランス 31.2
ニュージーランド 29.5
オーストラリア 13.7
イタリア 11.9
イギリス 6.7
フィリピン 4.7
カナダ 3.04
日本 0.6

このように海外では、日本と比較すると全般的に銃を所持している確率が高いことがわかります。

では、銃のことを意識するといっても、具体的に何をすればよいのでしょうか。

銃が関連するかどうかに関わらず、事件に巻き込まれないように危険な場所へ近づかないのは当然です。しかし、注意していても何らかの事件に遭遇する可能性はゼロではありません。

たとえば、路上でスリなどの被害に遭い、格闘技に自信があるからといって犯人を追いかけていったとしましょう。そして、もしその犯人が銃を保持していたとしたらどうでしょうか。犯人が人通りの少ない道にあなたを誘導し、待ち構えているかもしれません。そうなると、さらに大きな被害になることは間違いありません。

もし路上などで被害にあったとしても、決して無理な抵抗をしないように心がけてください。また、日常生活の中でも「銃が身近な存在であり、誰が保持しているかわからない」ことを念頭に置いて言動に注意するべきです。

ここまでアメリカの例を多く挙げてきました。しかし、留学先がアメリカ以外の国であったとしても、その国の銃やその他の武器に関する情報を事前に調査しておきましょう。

以上のように、安全な留学生活を送るために必要な心構えや知識について述べてきました。上記で述べた内容以外にも、留学先の国特有の注意すべき点があります。留学する国に関する本やガイドブックを積極的に読むようにしましょう。

そうすることで、その国の社会的背景、歴史、文化、慣習、生活様式に関してできる限りの情報を集め、知識を蓄えて行動に反映することができるからです。そのようにして得た多面的な知識が、思いがけない事件や犯罪からあなたを守ってくれます。